「勝ち運の おみくじ信仰」

中日新聞 朝刊に掲載をして頂きました。
棚尾商店街振興会・会員【毘沙門天 妙福寺】

掲載日 12月18日(日)

(中日新聞より転載)

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あいちの民話を訪ねて

碧南市の棚尾地区にある妙福寺(志貴毘沙門天)は平安時代の851(仁寿元年)年、荘園を管理する「荘司」の志貴周亮が祭った毘沙門天を由来とし、住民にも「毘沙門さん」と親しまれてきた。徳川家康らが武運を祈願したことから、勝ち運の神とも呼ばれる。現在は三河七福神の一つに数えられている。

毘沙門天の使いはムカデとされている。おみくじにはムカデが刷られていたとする話もあり、民話でうわばみが逃げたのは、使いに退けられてたともいわれる。

周辺は開発が進み、アシ原の光景は消えた。言い伝えも途絶えたのか、妙福寺周辺の高齢者はこの民話を「知らない」「孫に聞いて初めて知った」と口をそろえる。住職の加藤良邦さん(78)は「寺の伝承では聞いたことはないが、さぞかしおみくじのご利益があったということでは」と笑う。

碧南民話サロンが1995年に出版した「碧南の民話」が初出とみられ、言い伝えがほかの地域に残っていた可能性もある。あとがきでは「断片だけの言い伝えに筆を加えた」とする説明があり、棚尾の郷土史家磯貝国雄さん(77)は「断片をおみくじ信仰につなげたのかもしれない」とみる。

県小中学校長会などが二年前に編集した「まんが あいちのむかしばなし」の第一巻にも登場し、碧南を代表とする民話となった。地元の棚尾小学校では二年生が学び、過去には劇としても発表。今に根付いたうわばみの話は、長く語り継がれていく。

(西山和宏)